人生の変化を楽しみ、誰もが育ちあえる世界へ

ちゅらぷろインタビューvol.5 「人生のターニングポイントとこれから、、、夢」

プロフィール

金城さちよさん:沖縄県那覇市出身、50歳。20年近く建築業界で働いた後、現在は鍼灸師の妹と共にセラピストとしてアロマや琉球ハーブを使った身体と心、スピリットに寄り添うサロンを運営。アロマを使ったリーディングセッションを通じて、悩みを抱える人たちの心のケアも行っている。特別養子縁組で授かった息子と里親として1歳になる子を養育している。

新たな人生の道へ ― 建築から子育て、そして心のケアへ

金城さんは20年近く、建築現場や設計、営業の仕事を楽しんでいました。
「建築も好きでしたし、人が何より好きなので、打ち合わせをしてクライアントのお話を伺うことも楽しくさせてもらっていた」と語ります。

一方プライベートでは、長年の不妊治療などを経て、一時期の入院をきっかけに人生について考える時間を持ちました。

「私には何ができて、本当は何がしたいのだろう?」と自問自答する中で、女性として生まれてきたからにはやっぱり「お母さんになりたい」という思いに気づいたそうです。
医師からも妊娠の可能性が低いと告げられていた中、養子縁組という選択肢にたどり着き、1年近くの準備期間を経て男の子を迎えることができました。

新たな家族との生活の中で、金城さんが建築を目指した根本的な理由に気づきます。
「建築のお仕事は専門家という立場からどんな方とも対等にお話ができる。まずはクライアントが叶えたい夢や希望のお話しを聞くことから始まり、どうやったら現実的に叶えられるのかと対話をしていくお仕事だ」と振り返ります。

不妊治療中に「誰にも治療のことや、その時の不安な気持ちについて話しができる人がいなかった」経験から、「私ももっといろんな人たちと対話をしたい。お話しが聞きたい」という思いが生まれました。起業塾で出会ったアロマを使ったリーディングの手法に興味を持ち「妊活をしている人たちや悩みを持つ女性、男性も含めて、お話を聞けるお仕事にしていこう」と決意し、建築の仕事を辞めたのです。

「その時の私は建築のお仕事に対してやりきった感じもあったし、対象や手法が変わっただけでやっていくことは変わらない。私が味わった不安や痛み、悲しみなど様々な経験をより深い部分の変化を一緒に語り合いながら楽しめたらいいな」と現在の心境を語ります。

子育てを通じた自己発見

子育てについて金城さんは、「自分のことって本当に自分でよくわからないことが多い」と率直に語ります。
特に子育てをしながらだと「自分では分からなかった、見えていなかった自分の中にあるブラックな部分もいい意味で表に出させてくれる」と感じています。

「親や周囲の大人たちが考え、経験してきたことにどれだけ影響を受けて子どもたち(私たち)も作られているのかと考えた時に、本当に面白い」と話す金城さん。「私の中にこんな一面もあったのね」という発見が次々とあり、「ブラックな面も含めてみんな私なんだよね」と受け入れ理解できるようになったといいます。

こうした経験から「人生で立ち止まっていると感じている方や次にステージへ変化をしていきたいという方のお手伝いができたら」と思いを聞かせてくれました。

将来のビジョン ― コミュニティづくりと社会的養護

金城さんは現在、個別セッションを行う形から、より広く「講座という形で提供できたらな」と考えています。
さらに、養育里親活動の経験から「社会的養護が必要な子供たち」のサポートにも関心を寄せています。

「大人が作った環境に、大きく影響を受けている子供たちは多い」と語る金城さん。そうした子どもたちをメインにした講座や「今置かれている環境についてみんなで一緒に考え、解決していけるようなコミュニティ」を作りたいと考えているそう。

「誰が育ててもいい世界」への思い

金城さんの夢は「誰が育ててもいい世界をみてみたい」ということ。自身が「いきなり親になる」という経験をしたことから、「男性と一緒なんですよね。心の準備がままならない状況でいきなりお父さんになるみたいな、いきなり子供が来たみたいな感じ」と語ります。

「それぞれができること、役割があって、みんなができることを一つ一つ一緒にやっていけたらいいな」と願う金城さん。将来的には「ファミリーホーム」のようなものを運営し、「子供だけじゃなくって大人も一緒に成長できるような場」を作りたい。

里親としての経験から見えるもの

金城さんが里親になろうと思ったきっかけは、ご自身も夫も大家族で育った経験から、養子として迎えた息子を含め、複数の子どもを育てたいと考えたこと。沖縄県内にも社会的養護が必要な子どもたちが多いことを知り、まずは「一時保護が必要な子供をメイン」に活動を始めました。

子どもたちを受け入れる中で、「お母さんがものすごく頑張ってたんだな」と感じることが多いそうです。様々なケースはありますが「お母さんが頑張って、頑張った中で『助けて』って言えてこの一時保護に至っている状況だった」と、その背景に思いを馳せます。

この経験から、「サポートが必要な家庭はすごく多い」と感じており、「『助けて』とか『もう、子育ては無理かも』と声があげられない人たちもすごく多いんじゃないか」と考えています。「生活苦が原因で子どもたちに当たってしまう」ようなご家庭にこそ、サポートが必要だと訴えます。

里親活動の中「子どもたちの笑顔に勇気をもらったり、癒さている」と語る金城さん。また、養子である息子も、里子との交流を通じて「自分の生い立ちに興味を持ったり、自分自身が置かれている状況への理解も深まったりと成長している」といいます。

変化を楽しむ生き方

子育ての中で金城さんが感じているのは、「変化していることこそ、生きているということ」という考え。「変化していくことって怖いじゃないですか、例えば今まで、できたことができなくなるとか」という不安があるけど、その変化こそが人生だと捉えています。

「成長していくこともそうだし、後戻りしていると感じることも実はそれも変化するためのもので、生きるということだと思っている」だと語る金城さん。「みんなが一緒になって変化し続け、生きていることを実感できる」そしてそれを楽しむ。

大変な時期を乗り越えた自分へのメッセージ

過去の大変だった自分に声をかけるとしたら、「色々考えたよね」「色々苦しかったよね」「でも大丈夫だからね」と伝えたいという金城さん。そして、読者の皆さんへのメッセージとして、「一瞬ネガティブなことでも立ち止まることも全然オッケーだし、そのエネルギーに乗って決めて前へ進むことも大事」だと語ります。

読者の皆さんへのメッセージ

金城さんは最後に、読者の皆さんへメッセージを送ってくれました。

「楽しく行きましょう」というシンプルな夢を語る金城さん。「何かやらなきゃとか、こうせねばとか、こうでなくてはということではなくて、目の前の自分ができることで変化をジャッジせずに楽しみましょう。」

「変化していることこそ生きるということ」という言葉通り、立ち止まることも、後戻りすることも、全てが自分の成長のための変化であり、その過程を楽しむことが大切だという金城さんの思いは、多くの人の心に響くでしょう。
(インタビュー・文:阿部民子、金城さちよ