人生のターニングポイントとこれから…夢 vol.12『PRIDE』代表 大浜文子さん

「諦めない亀が辿り着いた、女性起業家の夢」
東京での30年間を離れ、沖縄に帰郷した日。
子どもたちの未来を思い、学習塾を立ち上げた。
その先で出会ったのは、自分を信じられない母親たちの姿だった。
そして気づいた——
自分が本当にしたいことは、沖縄の女性と子どもたちが、
ありのままの自分を愛し、輝ける世界を作ることだったのだと。
13年の個人事業主人生を通じて、
何度も諦めようとした自分を信じ続けた先に、
今、彼女の想いは沖縄全体へ、そして全国へ広がっている。
自己紹介
初めまして、大浜文子です。沖縄で「PRIDE」という活動をさせていただいています。
何をしているのかとよく聞かれるのですが、
メインの仕事はコーチングをベースにしたコンサルティングです。
その他にもビジネススクールの運営、キャリアや人生の方向性に悩む方々のための講座やコミュニティづくり、
そして「お金の学校」という、ビジネスの方法論からお金の扱い方、資産の増やし方・守り方まで、
ワンストップでご相談いただけるサービスも展開しています。
個人事業主として13年が経ちました。
これまでの経験で学んだビジネスのやり方やお金の扱い方を、たくさんの方にお伝えできることが喜びです。
私の活動の大きな特徴は「仲間づくり」を大切にしていることです。
1匹狼のように進むのではなく、
沖縄の女性起業家たちとアライアンスを組み、
横の繋がりを大事にしながら事業を進めています。
その一環として、沖縄だけでなく全国からのオファーもいただきながら、
イベント企画も行っています。
また、ライフワークの一つとして「琉球美女量産会」というコミュニティを立ち上げました。
名前は少し個性的ですが(笑)、沖縄で活躍されている女性起業家と一般の方々が一緒に、
沖縄の文化や「ユマールの精神」(お互いに助け合う心)を繋ぎながら、
女性性を高める時間を共有する場です。現在、約100名の方に参加いただいています。
さらに、NPO法人「未来絆の種」の副代表も務めています。
このNPOは、パートナーシップや子育てを通じて、地域と一緒に学ぶ場づくりをしており、
2025年11月22日で設立1周年を迎えたばかりです。
起業のきっかけ——人生のターニングポイント
東京から沖縄へ
私の人生を大きく変えたターニングポイントは、30代前半に沖縄に帰郷したことです。
高校卒業後、東京の大学へ進学しました。
その後、就職、結婚、離婚と、人生のいくつもの経験を重ねながら、
東京で約20年を過ごしていました。
ずっと会社員として働いていたのですが、沖縄に戻ってくる決断をしたのです。
帰郷した時、私の心にはこんな想いがありました。
「沖縄のために、自分は何ができるだろう」
その問いに対して、一つの答えにたどり着きました。
沖縄の未来は、子どもたちが作っていく。
であれば、教育に関わろう。その思いから、学習塾を立ち上げることにしたのです。
学習塾での気づき
学習塾を経営する中で、私は子どもたちだけでなく、
その親御さん、特に母親たちと向き合う時間が増えました。
そこで見えてきたのは、母親たちの低い自己肯定感でした。
仕事もしながら、子育てもして、自分のキャリアも考えて……。
そうした忙しい日々の中で、母親たちは深い悩みやコンプレックスを抱えていたのです。
女性は人生のライフステージの中でたくさんの変化を経験します。
その度に新しい課題や悩みが生まれます。
でも、「ありのままの自分でいいよ」と自分自身に丸をつけられる時間や場所が、
実はとても少ないのではないでしょうか。
以前から学んでいたコーチング——
ストイックなものではなく、自分自身に丸をつけられるようなコーチングを、
母親たちに施してみました。
すると、驚くことが起きました。
母親たちが笑顔になり、子育ての仕方が変わり、
子どもとの関係性が変わったのです。
母親が幸せそうに笑っていると、子どもたちは最も変わります。
「お母さん、勉強できたよ」と得意げに報告したくなるんです。
親子関係が良くなり、子どもたちにも前向きなエネルギーが流れ始めたのです。
この経験が、私に新しい道を示しました。
学習塾の仕事を続けながら、母親たちのためのコーチングや講座を始めたのです。
沖縄の女性と子どもたちを輝かせるためには、
女性自身が自己肯定感を高められる学びと環境が必要だ。
その確信が、私のターニングポイントになったのです。
これからのこと・夢
女性起業家をサポートする
今、大きく動いている一つの想いがあります。それは、起業を志す女性たちのサポートです。
その実現のために「ライフデザインビジネススクール」を開設しました。
なぜこれが必要だと感じたのか。それは、私自身の経験からです。
起業当初、私はある程度知名度のある学習塾のブランドを背負っていたので、
「自分が始めればすぐに軌道に乗るだろう」と安易に考えていました。
しかし現実は非常に厳しかったのです。
起業1年目、2年目は、スタッフ4人を雇いながらも、自分の時給は350円。
スタッフより低い給料で、ただただ苦しい思いをしていました。
それでも「これはきっと意味がある。この先に、私が描いている世界がある」
と信じることができたのは、
自分の可能性を捨てきれなかったからです。
3年目には、生徒数も増え、状況は変わり始めました。
そして気づいたのは、仲間の力の大きさです。
1人で起業していた時は本当に辛かったけれど、
横の繋がりを「仲間」に変えていくことで、
ビジネスの成功ポイントが大きく上がったのです。
だから、同じように起業に悩む女性たちに伝えたいのです。
「こういう場所がある。こういう学びがあれば、自分が思い描く世界がデザインできる」と。
この学びを通じて、起業で成功する女性が増えれば、
経済的にも精神的にも自立できる女性が増えていきます。
沖縄から世界へ
女性が経済的、精神的に自立すると、笑顔が増えます。
母親や女性が笑顔だと、子どもたちも笑顔になります。
すると家族が幸せになり、その周りも良いエネルギーで満たされていきます。
私はこれが世界の平和につながると信じています。
だから私の夢は、沖縄から「自分の人生をデザインする自立した女性」を
たくさん輩出することです。
そして同時に、子どもたちも、自分のやりたいこと、得意なこと、
できることを追求できる世界をつくりたい。
それを、母親たちや女性たちと一緒に実現していきたいのです。
さらに、パートナーシップを学ぶ場や、
子育てを「1人ではなく、みんなでやるものだ」という認識を広げるために、
地域や行政との繋がりも作っていきたいです。
沖縄だからこそできる「ゆいまーる」のエネルギーを、
もっともっと発信していきたい。
それが、私のこれからのビジョンです。
あの時、大変だった自分へのメッセージ
大変だった自分へ……。
今、私から見ると、あの時の自分は本当に頑張っていたんだなと思います。
私は、よく「亀のような歩み」だと言われます。
起業して数年で急速に売上を伸ばし、世間から認められる人もたくさんいます。
でも、私はそうではありませんでした。
継続、継続。1つずつ着実に進んでいきました。
その中で、常に自分に問い続けました。
「私は本当は何がしたいのだろう」
「私が思い描いている未来の姿はどういうものなのだろう」
辛い思いもしました。
でも、1個1個、自分に丸をつけられるよう、自分との約束を守り続けました。
その積み重ねが、今の私を作ったのだと確信しています。
だから、あの時の自分に言いたいのはこうです。
「どんなに辛くても、絶対に自分の未来は開けるんだ。
そう信じていた君は間違っていない。
その自分を、私は心から丸をつけてあげたい」
みなさんへのメッセージ
このインタビューを読んでくださっている皆さんへ。
女性だけじゃなく、すべての皆さんへ伝えたいことがあります。
最も大切なことは、自分自身を愛することです。
自分を丸をつけられることです。
何かにチャレンジしたいけど、少し踏みとどまっている方。
やってみたいと思うけど、我慢している方。
ぜひ、ベイビーステップでいいので、自分が思うことに一歩踏み出してください。
そしてそれを認めてくれる環境に身を置いてください。
自分自身が一歩踏み出す勇気を、ぜひ持ってください。
もし、そういう勇気が出ない時があったら、周りを見回してみてください。
きっと、そうして頑張っている人、チャレンジしている人がいるはずです。
その人の応援側に回ってみてください。
応援することで、自分も大きなエネルギーをもらえるのです。
応援できた自分も丸。
その応援から見えた世界から、
「あ、これなら私もやってみたい」とチャレンジする自分も丸。
本当は、あなたの周りには素晴らしい世界が広がっているんです。
その世界を一緒に感じられたら嬉しいです。
最後に一つ。沖縄に生まれた意味をよく考えます。
自分にできることは、世界の平和を願うことだと思っています。
そしてそのためには、まず自分自身が幸せで豊かに感じることが大切です。
自分が幸せを感じないと、他者を幸せにしようという想いは湧いてこないからです。
だから、大好きな人と素敵な時間を過ごしたり、美味しいものを食べたり。
そうした自分への優しい時間を大切にすることを、ぜひ心がけてください。
沖縄は、そうした「自分に帰る」ことを優しく迎え入れてくれる場所だと思います。
沖縄の文化、出自、海、自然。
そうした要素をフル活用して、自分自身に帰る時間を作ってみてください。
ですから、沖縄のことを好きになってくださいね。
そして、ぜひ遊びに来てください。
沖縄のエネルギーを感じながら、自分自身を大事にする時間を過ごしていただきたいなと思います。
インタビュアー ちゅらぷろ 阿部民子

